しまね食品バイヤーズカタログ

お殿様が称えた伝統の「大東茶」を守り伝える 藤原茶問屋 / 島根県雲南市 お殿様が称えた伝統の「大東茶」を守り伝える 藤原茶問屋 / 島根県雲南市

神話の里、島根県雲南市
大名茶人としても知られる松江藩の藩主松平不昧公が褒め称えたことから本格的に栽培が始まった「大東茶」
250年の伝統を継承しながらも安全や安心にこだわり
様々な取り組みで新たなお茶を生み出す
藤原茶問屋4代目 藤原馨さんにお話を伺いました。

藤原茶問屋 代表取締役 藤原 馨氏
※松平不昧公(まつだいら ふまいこう)
松江藩中興の祖とされる、大名茶人として名高い松平家7代藩主の松平治郷(1751~1818年)のこと。お茶、お菓子、お料理のほか、漆芸や陶芸、木工など、幅広く文化の振興を図ったとされ、「松平不昧公」の名で今も多くの人に親しまれている。

藤原茶問屋の歴史

当社は明治元年に創業、私で4代目となります。
このあたり(現:雲南市大東町)では古くからお茶の生産が行われており、最初は小売からスタートしました。2代目から手もみのお茶を製茶、3代目からは製茶の機械を導入して、地元農家さんのお茶の委託加工なども受けております。
私の代からは有機栽培も始めました。
当社では「素材を活かす」「人を活かす」「地域を活かす」という3つの観点を大切にしながら、「安全安心・美味しい・心ときめく」ものを皆様に届けることを喜びとしています。

商品について

「玉緑茶」は大東茶の伝統を伝える創業以来の品で、勾玉状に丸まった茶葉が特徴です。
玉緑茶は仕上げ工程において精揉(せいじゅう)という作業はせず、機械の中で茶葉を回転させることで丸みを帯びた形になります。余分な熱を加えず、お茶の風味を活かす製法のため、渋味が少ないまろやかな味わいと、2煎目も色・味ともよくでるため、美味しく召し上がっていただけるのが特徴です。

  • 玉緑茶の茶葉
  • 玉緑茶
  • 五色雲
  • 焙炉仕上げ茶

焙炉(ほいろ)を使った手もみ製法による仕上を行っています。
焙炉作業とは炭火で温めた作業台の上で茶葉に少しずつ熱を加えていく工程のことで、手肌で直接茶葉に触れ、見た目や香りなど茶師の五感をフル活用して、微妙な熱入れ具合を確認しながら行います。この焙炉仕上げによって、爽やかな香りと甘みを持ったお茶になります。

  • 焙炉作業の様子
  • 製茶加工場

「不昧公番茶」
無農薬の茶葉を蒸して、揉まずに乾燥させて、強火で焙った番茶になります。カフェインが少なく年齢を問わず楽しんでいただけます。香ばしさの中に甘みがあり、口当たりの優しい番茶です。
こちらの「不昧公番茶」はJR西日本が運行する寝台列車TWILIGHT EXPRESS 瑞風の立寄地のウェルカムドリンクとしても選ばれています。
到着日に合わせた焙りたてのお茶をご提供することで大変好評いただいております。

  • 瑞風の立寄地の様子 
    ※藤原茶問屋SNSより
  • 不昧公番茶
※TWILIGHT EXPRESS 瑞風
TWILIGHT EXPRESS 瑞風(トワイライトエクスプレス みずかぜ)は、JR西日本が運行する周遊型寝台列車(クルーズトレイン)として、京阪神地区と山陰・山陽地区間で運行。
1日1回、途中駅に立ち寄り、専用バスを使って地域の文化や美しい景色、人気の観光地を巡り、料理を楽しむなど特別な体験も用意される。

藤原茶問屋のこだわり

私の代になってからは「さらに安心なお茶を作りたい」という想いから有機栽培を始めました。有機栽培とは農薬や化学肥料を使わない栽培方法ですが、当社の茶畑では動物性のたい肥も使いません。家畜の飼料には様々な薬品や物質が入っていることがあり間接的に化学肥料を使うことになると考えているからです。

  • 番茶の摘採
  • 茶畑には多くの昆虫たちが

お茶の栽培加工では、島根県のGAP認証制度「美味しまねゴールド(おいしまねごーるど)」を取得しています。この認証の申請にあたって、あらためてお茶づくりの環境について見直すきっかけとなりました。

新しい取り組み

近隣の様々な食品に関わる事業者さんと新しい商品開発を行っています。
お菓子屋さんとのコラボで「茶団子」や「お茶ロールケーキ」を、製麺所さんとは「茶茶うどん」も開発しました。
6種のお茶を使ったアイスは満足のいく出来になるまでに長い月日がかかりましたが、おかげさまで雲南市のふるさと納税の返礼品としても大変好評をいただいております。

最近では雲南市内の発酵食品を扱う事業者さんとコラボした「プーアル茶」の開発に力を入れています。日本酒の蔵元からは米麹を、ワイナリーからはワイン酵母を、他にも醤油麹や味噌麹など、いずれも近隣の事業者さんにご協力いただいて開発。それぞれに素材の風味や香りを感じられる味わい深いお茶が完成しました。

  • 和プーアル茶(ワイン酵母)
  • 和プーアル茶各種と和紅茶
  • 特上煎茶アイスクリーム

バイヤー様に向けて

全国的にお茶と言えば静岡県や鹿児島県などが産地として広く知られています。
同じお茶の品種でも産地が変われば味も香りも変わってきます。
島根県は恵まれた自然環境の中で、おいしい農作物がたくさんあって、そのうちの1つがお茶であると思っています。

雲南市は季節ごとの寒暖差もあり、冬には積雪があるなど、易しい環境ではありませんが、そこで育ったお茶は力強く風味も豊かになります。
これがお茶の原点ではないかと考えています。
その原点を活かしながら、私達の加工によって様々な風味を楽しめるお茶にすることで、不昧公から愛された大東茶のことを広く知っていただき、多くの皆さんにその味を楽しんで頂きたいと思っています。

  • お茶の新芽
  • 茶畑全景

取材を終えて

雑談の中で、藤原さんにお茶の楽しみ方をたずねてみました。
「不昧公がこの地に来てお茶の栽培を命じたのは、この地のお茶がとても良いものだから。
広く庶民にも楽しんで欲しいと広められたのだと思う。」
「だから皆さんには、型にはまった作法など気にせずに賑やかにお茶を楽しんで欲しい」
「我々の地域には『たばこにするか(休憩するか)』という方言があるように、
10時と3時にお茶休憩の時間があるのは、ホッとひと息つく時間が、人生の中に必要だからと思っています」と説いていただきました。

様々なお料理やお菓子と共に

また、地元の小中学校でもお茶の出前授業を行い、お茶の歴史や作り方、栽培方法などを説明し、実際に急須を使って子どもたちがお茶を淹れる体験をしてもらっているとか。
そうすることで、地元のお茶を知り、次の時代に繋げていって欲しいとの想いだけでなく
将来、故郷を離れた子どもたちが『一杯のお茶から、ふるさとを懐かしみ、仲間を思う機会となれば嬉しいです』と笑顔で仰っていたのがとても印象的でした。

株式会社 藤原茶問屋の商品一覧

商品写真をクリックすると商品詳細がご覧いただけます。

株式会社 藤原茶問屋
  • 島根県雲南市大東町大東1677番地1
  • TEL 0854-43-2113
  • 営業時間 8時30分~17時30分
  • 定休日 日曜日・祝日
  • 一部写真提供:藤原茶問屋(無断転載禁止)

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